９月６日
	ちょっとね、の世界
	焼き殺されそうな日差しから、ようやく過ごしやすくなってきた。 　秋、である。そろそろな。 　秋といえば運動会。少し早いけど、Ｍ男と秋の大運動会なぞしてみた。 　もちろん、各競技はＳＭ流にアレンジ！ 　さて、クイズです。スプーンリレーのスプーンはどこで持つのが正しいでし ょうか？　はい、みなさん、わかりましたか？　 　答えは、当然、アナルです。肛門です（笑）。 　スプーンにピンポン玉を乗っけて、アナルに突っ込んで、ピンポン玉を落と さないように四つん這いで、ハイハイで走らせるのです。 これがＳＭ流の（ワシ流？）スプーンリレーです。みなさん、ここは二学期 の中間試験に出ますので、よくノートにとっておいてくださいね。 　Ｍ男を二、三人集めてやったらおもしろそうだけど、残念ながら、マンツー マンの運動会だった。 　Ｍ男はスプーンをリレーする相手がいないので、一人で大汗かいて、赤ちゃ んよろしくハイハイしていた。 　パン食い競争も、もちろんパンなんか食わせない。 　Ｍ男が履いていたパンツを使うのだ。三日間、同じパンツを履いているよう に事前に言っておいた。 　Ｍ男の黄色い染みのついたパンツを、私は釣り竿みたいにしてぶら下げた。 　ただジャンプしても面白みがないので、鈴付き洗濯バサミで乳首を挟んでお く。こうしておくと、Ｍ男がジャンプするたびに、チャラチャラ鈴が鳴って誠 に楽しいのだ。 　Ｍ男はぴょんぴょんと跳ねた。自分の臭いパンツをくわえるために、ぴょん こぴょんこ跳ねた。これ、サイコーおもしれえわ。見てて楽しいわ。 「スプーンリレーもがんばったし、パンツもちゃんとくわえられたし、じゃ、 ご褒美をあげようかしら」 　運動会のシメとして、もういちどパン食い競争をした。 　ただし、こんどのパンツは、女王様の芳香漂うワシの生パンツだ。 　ちょっと奮発しすぎたかなあ。 　Ｍ男の目は、キラキラと星のように輝いた（笑）。 　ホント、こういうときのＭ男ってばかわいいよなー。 　こういうマヌケなプレイばかり私は好んで日記に書いているが、アナルフィ スト（これはさすがに極々極々たまにな）とか拡張とか、ＳＭ臭漂うＳＭも、 実はちゃんとしているのだ。 　プライベートでＳＭパートーナーを持っている人達からは、「ＳＭクラブは ちょっとね」ってかんじで、なんていうか、本物じゃないよねと思われている フシが無きにしもあらず（ワシの勘違いかもしれんが）。 　まあ見栄えの問題として、Ｍ女はいたぶられて様になるけど（苦悶の表情が 美しいとか）、Ｍ男の場合はぷっと笑っちゃうっていうのもあるだろう。 　それと、時間単位のプレイじゃ、心のＳＭはできないっていう意見もある。 しょせん職業女王様だしねってな意見もな。うん、たしかにね。異論はあり ませんわ。 　でも、私は「ＳＭクラブはちょっとね」の、その「ちょっとね」の世界にい るのが、どうやら好きなようだ。 　マヌケな世界から見えるものもあるはずだし、そこから見えるものを私は見 ていきたい。 　私のパンツをくわえたＭ男は、 「こ、これ、いただいてもよろしいんでしょうか？」 　キラキラした瞳で（笑）訊いてきた。 「いいわよ」 　Ｍ男は土下座して、「はっ、いただかせていただきます」と、どういう敬語 なんだかわからない敬語で言った。 　こんなＭ男のふだんの姿は政治家だったりする。審議とか？ そんなのをし てるみたいだ。 町下くんから電話。 「彼女とね、大丸行ってさー、今日、金ないっていうから十万あげたんだ。ほ ら、うちの彼女、金銭感覚ぶっこわれてるじゃん？」 「あー、すぐ使っちゃったんだー」 「そうなんだけど、三階にたどり着いたときはもう無かったの」 アッハッハッハ。すげえなあ、彼女。一階でお金渡して、三階に行ったとき にはぜんぶ使われてしまっていたんだと（笑）。 「四階までもたなかったんだよ〜」 彼女はＡＶ女優で（けっこう有名ですな）、ひょんなことから知り合いにな って、ひょんなことから付き合うことになったのだそうだ。 「彼女は心と体が分離してるような人で、僕はすごく惹かれているかもしれな い」と、町下くんは言った。
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