１１月２４日（水）
	サランラップの愛
	今日はラップマニアのＭ男が来た。 　ラップといっても、歌うあのラップじゃなくてサランラップの方な（笑）。 　ＳＭ的にはそっちなんでよろしく。 　日用品って意外とＳＭの道具になる。ＳＭショップなんか行かなくても、ふ つうの家庭でＳＭに代用できそうなものはごろごろしてる。 　ワシなんかから見たら、台所なんてエッチなブツの宝庫だな。 　Ｍ男をひたすら巻き巻きした。 　一心不乱に巻き巻き作業に没頭していると、なんだか雑念が取り払われたよ うな、修行してるような澄みきった気持ちになる（笑）。 　夕飯の残り物の小皿にちまちまラップかけるなんてつまんねえよ。やっぱ巻 くなら人間ですな。 　はっきりいって、サランラップはバカにできない。ぴっちり巻かれたらピク とも動けなくなる。あれは縄よりも強力な拘束具かもしれない。 　けど、姿的には爆笑だった。Ｍ男の奴、まるでスケスケのミイラ（笑）。 　今流行りのスケルトンってやつか？　ｉＭ男か？ 　いやー、おもろかわいかったなー。 　チンコのとこだけ開けといて、ワシはたっぷりイタズラしてやった。 「この汚ならしいチンコをむくむく大きくさせたら承知しないよ。これ、これ よ、これ、これ（ヒールのカカトでチンコをぐいぐい）を、私の目の前で大き くさせたらぶっとばすよ？　ん？（にっこり）」 　優雅に微笑んでワシは言う。 　体が簀巻き状態でチンコだけ自由って、これ、猛烈にマヌケだ。 　ワシはもう口許がヒクヒクして、ぶわっはっはー、と今にも吹き出しそうだ った。こらえるのに一苦労だった。 　チンコは当然、大勃起（笑）。お仕置きとして、くすぐりの刑に処す。 　このＭ男は耳が異常に弱いのだ。ワシがフーッと息を吹きかけたり、耳掻き の綿のとこでさわさわ〜っと撫でたりしたら、そりゃもう大騒ぎなのだった。 「ギャーッ。アハアハアハ。ダメーーッ。ヒーーーッ」 　うるさいから、口枷もサービスする。 　これは見てるこっちが同情してしもうた。 　Ｍ男の奴、ほとんど悶絶。半分白目を向いてしまった。 「ラップに巻かれてるとき、どんな気分？」 　プレイが終わって、私は訊いた。 　ラップが好きなら、ラバースーツ、雨合羽なんかを愛するゴムフェチかと思 いきや、奴は素材には特にこだわりはないと言う。 「僕、巻かれたいんです……」 　Ｍ男は、恥ずかしそうにもじもじしながら、でも嬉しそうに言った。 「素材は何でもいいんです。もちろんラップは大好きなんですけど、あと学校 のマット運動のマットでも、家の布団でも、カーテンでも何でもいいんです。 とにかく巻かれたいんです。ぎゅーっと巻かれて身動きできなくなると、なん だかすごくミジメな気持ちになって興奮するんです。で、興奮しながら、同時 に安心もするんですよね。巻かれて動けないときが僕は一番安心するんです。 これって……変、ですか？」 　変ていうか、ＳＭ的には正道だろう。 　巻かれるっていうのは、つまり抱きしめられるのと同じ感覚なのだと思う。 　息ができないほどきつく抱きしめられたいときって、誰にでもあるはずだ。 　それが人じゃなくてサランラップってところがおもろいけどな（笑）。ちょ っとだけせつねえけどな。 　仕事が早く上がったんで、純ちゃんとデート。 　純ちゃんの待つ駅に急ぐ。 　夜のサイクリングとしゃれこむことにした。寒いけど一度、純ちゃんと夜の 街を疾走してみたかったのだ。 　純ちゃんの真っ赤な自転車に二人乗り、いえーい。と思ったら、なんとサド ルが泥棒されていた。まじかよ！ 　しかも、ご丁寧に壊れたサドルに付け替えられている。ムッカー。 　しょうがないので、他の自転車のサドルを盗む（笑）。 「えっ、でも、いいのかな……」 　躊躇する純ちゃんと、既にサドルを物色してるワシ。 　だって、これじゃ乗れないんだから仕方ないじゃん。今すぐ、純ちゃんと夜 の道をぶっ飛ばしたいんだからさー。 　あいにく星は見えない。けれど、背中に純ちゃんのおっぱいを感じながらこ ぐ自転車はサイコーだったさ。
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