11月2日(火)
  ラブリーガス
 

   今日は生理二日目。やたら屁が出る。
 ちっさい屁が出るわ出るわ。ぷっすぷっす。
 生理のときは同時に下痢にもなるし、おならも出るし、ホントかなわんな。
 屁は不思議だ。他人の屁ほど嗅がされてイヤなものってないのに、好きな人
の屁だとじっくり味わって、こう咽の奥に大切に吸い込みたくなる。

 付き合いはじめて一ヵ月くらいのころ、
「ねえ、純ちゃん、おならしてよ。純ちゃんのおなら聞きたいなあ」
 私は言った。
「ヤ! もう、NAOちゃんってばもう! もう! ヤ! もう!」
 純ちゃんは赤面して、「もう!」と「ヤ!」しか言わなかった。
「あ、おなら出そうってこと、たまにはあるでしょ。そういうときってさ、我
慢してるの?」
「そんなの出ないもーん」
 コンニャロ、かわいいよ(笑)。
「おなら我慢してるんでしょ?」
 デートの間中、百回はしつこく訊いた。
 しかし、百回とも「出ないもーん」で返される。本当にコンニャロだ。

 セックスの最中、ワレメを舐められながら喘いでいる純ちゃんに、
「正直に言わないと舐めるのやめちゃうよ」
 と意地悪を言った。
 ワレメをなぞっていた舌を離してしまうと、
「やめちゃイヤ」
 純ちゃんは泣きそうな声で言った。
「じゃ、正直に言う? 純ちゃん、おなら我慢してるんだよね?」
「う、うん。我慢してるの」
「聞かれたら恥ずかしいから?」
「うん、そう。恥ずかしいから」
 よっしゃ(笑)。

「今までにすかしたことある?」
 また舐めるのを再開して私は訊いた。
「う、うん」
「聞かれたら恥ずかしいからすかしちゃったの?」
「う、うん」
 腰をびくびくさせながら、震える声で純ちゃんは答える。
「じゃ、こんどからは、『おなら出る』って言って、すかさないでちゃんと私
に聞かせないとダメだからね。純ちゃんのおなら聞きたいんだから」
「そんなの聞かなくていいの!」
「聞きたいの!」
「聞かなくていいの!」
「聞ーくーの! 聞かせるって言わないと、舐めるのやめちゃうよ」
 付き合いはじめて一月でこれだからな(笑)。
 ワシと出会ってしまった不幸を呪ってくれ。

 今では、純ちゃんはいやいやながら、ワシにかわいいおならを聞かせてくれ
るようになった。
「……おならしていい?」
 純ちゃんは言う。
 何がかわいいって、ワシが期待して待ち構えてるのに、結局出なかったとき
の恥ずかしそうな純ちゃんの顔ほどかわいいものはない。
「出なかった(赤面)……」
 あのなんともいえない間がたまらないのだ。
「あれはね、おならを聞かれたときより恥ずかしいんだよ!」
 力説する純ちゃんなのであった。

 今年も十一月か。早いなあ。もう肉まんがうまい季節。
 仕事帰りにはワシはたいていコンビニに寄る。なんとはなしに肉まんをおみ
やげに買って帰る。家まではすぐだけど、冷めないように服の下にブツを仕込
む。寒い夜には、腹がぽかぽかあったかくて気持ちいい。
 奈々ちゃんは、「産んで産んで」と言って、ワシの腹のとこから肉まんを取
り出す。なんだか肉まんを出産するみたいで変なかんじ。






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