0325

	３月２５日（土）
	桜の森の満開の横

	キムタクにセックスアピールは感じないが、大江光（大江健三郎の息子で知的障害の方。音楽家として活躍してます）には私はむちゃむちゃそそられる。　と書いたらヤバイんだろうか？　いや別に障害者に欲情したっていいよな？　私は昔から知的障害者が欲望の対象なのである。　たとえば、裸の大将こと山下清がもし今生きててワシの住む街に放浪してきたら、絶対に寝てみたい、セックスしたいって思うだろう。「アルジャーノンに花束を」を読んでても、ワシは主人公である知恵遅れの青年、チャーリー・ゴードンに激しく欲情せずにはいられない。　へたれ男との寒いセックスよりも実はそっちのセックスの方が私はより好きなのだ。白痴の男を見ると私はいつも焦がれるように欲情する。　特に脳性麻痺プラス白痴で、口から涎を垂らして聞き取りにくい言葉で喋っている男を見たら、その涎を私の体にべっとりくっつけてほしいと願わずにはいられない。　彼の涎が女の裸をべちゃべちゃにするところを私は想像する。セックスの技法などわからないのに本能でむしゃぶりついてくる様を想像するとたまらなくなる。いとおしくてゾクゾクする。私を抱いてほしい、涎で包んでほしいと思う。そういう性癖が自分の中にあることを私は中学生のときに知ったような気がする。　石川君は特別クラスあるいはバカクラスと呼ばれる教室の生徒だった。　石川君は猿のようにキーキー奇声を発して廊下を駆ける。廊下でウンコも漏らす。女子に突然抱きついたりもして、それに関しては学校でもかなり問題にされていた。石川君の抱きつき行為は多くの女子をナーバスにさせ、先生が休み時間に石川君を監視して廊下に見張りに立ったほどである。　あるとき、私のクラスの男子が石川君を教室に引っ張りこんだ。「石川、いいこと教えてやるよ」と言って、何人かの男子が石川君を囲む。二つ並べた机の上に石川君は寝させられた。仰向けになった石川君のチンポをズボンの上からみんなで触っているようだった。「うわー、石川のチンポ大きくなってきた」とはやしたてる声が聞こえる。「やめなさいよ！」とか「キャー」だとか、女子の悲鳴も聞こえた。　石川君はいやがらなかった。どころか、みんなに遊んでもらっていると思ったらしい。嬉しげな声で「大きい大きい」と石川君は歌うように言っていた。　そのときの石川君の歌うような声に、なぜだか私は欲情した。石川君に悪戯してる男子どもを突き飛ばして、私が彼のチンポを触りたいと思った。　ピーター・アーツにこの話をした覚えはなかった。だって、私とヤツは出会った初日に喋ったきりでそれ以来まったく口をきいていない。　いつもセックスするのはホテルかヤツの車で、まさかヤツの家に行くことになるとは思ってもみなかった。いや、あれがヤツの家だという確証はない。　たぶんそうなのだとは思うが、表札を私は見はぐった。最初に空で出会った日にマスターからヤツを紹介されて名前だけは知っていたんだけどな。　まあ、あれがヤツの家なのかどうかそんなことはどうでもいいんだけどさ。　とにかくでけえ家だった。お手伝いさんとかいたし。　私はヤツの後をついていった。二階の一室に一人の男がいた。顔つきで白痴なのだとすぐにわかった。ヤツのお兄さんか弟なのだろう。　ヤツが私の服を乱暴に脱がしだしたので、ああこの男とセックスしろということなのかと悟った。私は自分で裸になった。　白痴の男は体も不自由だった。手足が小刻みにずっと震えている。これじゃ自分のチンポもまともに触れないだろう。　白痴の男の下敷きになった体勢で私はじっとした。私の体の上でブルブルブルブルと白痴男はリズミカルに振動した。それは心地よい音楽のようで、私は石川君のことを思い出した。　この私の上で振動する男の頭はどれくらいの知能があるのか？　小学校低学年くらい？　幼稚園児くらい？　そんなことを考えていたらひどく楽しくなってくる。　涎が顔や乳房に降りかかってくる。独特の臭みがある。イヤな匂い。でもイヤじゃない。白痴の男は必死に何か言おうとしている。「おぅおぅ」とうめき声を発しているが何を言ってるのか私にはさっぱりわからない。　白痴男をバタンと裏返しにして、こんどは私が上になる。チンポから異臭がする。チンカスが異様にたまっていた。吐き気がするほどの異臭だった。私はそれを口で丁寧に舐め取った。こんな汚いものを食べたら病気になるかなと思った。チンカスの味が口に広がらないうちにすぐに飲み込む。　ピーター・アーツをちらと私は見る。何を考えているのかわからない、心の中をまったく映さぬ目でヤツはこっちを見ていた。　ふいにこのとき、私はこの男が嫌いじゃないなあとなんとなく感じた。　さっきから痒みを感じていた私の目がじんわり熱くなってくる。こういうドンピシャのタイミングでの花粉症発症は本当に困る。　何かの感情が溢れて私が泣いているとヤツが勘違いしたらどうしようと心配になる。そんなふうに思われるのは死ぬほど不本意だった。　私は大急ぎで目をこすった。何度もこすって、こすりすぎて目の前がぼんやり白くなる。　二階の窓から見える桜の木は花は咲いていないはずだった。この家に来たとき、それはこの目できちんと見た。　視界の白い濁りと太陽光の白い光が混ざり合って乱反射したのだ。ぼーっと白い花が満開に咲いているように見えた。きれいだなあと私は思った。　視界がまだぼんやりしたまま白痴男のチンポをくわえる。ちゃんと膨らむ。　バカなのにチンポはちゃんと膨らんだ。かわいい。　男がみんな白痴だったらいいのに。そんなことを思いながら私はフェラチオをつづけた。
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