３月７日（火）
	ネカマと熟女と若ぶる女
	仕事休み。昼間から悠々とねっとさーひん。 　バイセクシュアルやレズビアン、ゲイのホームページって、ほんとたくさん あるのなあ。 　ワシのサイトを読んでくれてる女性で、中学生のときに、この子はどうやら 女の子が好きらしいと親に気づかれて、精神病院に連れていかれたっていう人 がいる。これ、特異なケースじゃないのだ。 　空のマスターが働いてた精神病院でも、子供が同性愛らしいってことで連れ てくる親がたまにいたんだそうだ。 　ワシのサイトに来てくれてる彼女は、なんと、連れていかれた病院で「同性 愛なんたらかんたら病」と病名をつけられたそうである。 　おいおい、先生、病気じゃねーってば。 　田舎に住んでて、情報不足で「自分って異常なのかな……」と、人知れず悩 んでる中学生、高校生くらいの子って少なくないんじゃないかなあと思う。 　彼らが早くインターネットにたどりつければいいと思う。はよう来いや。 　レズビアンや女性バイセクシュアルのホームページには「男性の入室は硬く お断りします」と、たいてい書いてある。でも、絶対に紛れ込んでるよ。紛れ 込んでないはずねえよ。 　ヤツらの目的は女の子のフリをして、女の子とエッチな会話をチャットです ることだ。そういうネカマらしき人をワシは何度も目撃している。 　今日も目撃した。やっぱりさ、わかるんだよネカマって。 　不自然に言葉が女の子っぽすぎるんだよなあ。 　二人がツーショットでチャットしてたんだけど、あの二人、たぶん両方とも ネカマだな。相手を女と思ってるウスラバカな男が二人。 「美奈子のクリ気持ちいい〜！　ジンジンするの〜。エッチなおつゆがあふれ てるの〜」 「アン、イヤッ！　す、すごいの！　バイブが麻里子のマンコで暴れてる〜」 　という感じの、ベタベタなバカチャットなのだ。 　なんだか微笑ましいねえ、調子にのってるネカマって。かわいいじゃん、っ てかわいくねえよ！ 　はっきり言っておくけど、野郎は絶対に女性限定のホームページに行ってチ ャットに入ったり、掲示板で不快な書き込みをしたりするなよ。 　それが、ホームページ管理者やそのホームページに集まる女性にとって、ど んなに不快で屈辱的なことか、もし過去に招かれざることをした男がいたら、 カラッポでチンカスしかつまってない頭で少しは想像してみろ。 　ネカマどころか堂々と自分が野郎だと正体を明かしてチャットに入り、「迷 惑かけないから一緒にお喋りさせてよ〜」と言ったことがあるヤツ、おまえに ワシが死刑を宣告する。 　中にはそれでホームページを閉じてしまう女性もいるんだぞ。そんな結果を 引き起して楽しいか？　ああ？　寝覚めがいいか？ 　エロサイトで虚しくセンズリでもこいてろボケ。海外のアダルトサイトでだ まされて、気づいたらカードから金が引き下ろされてて、カードの請求がその 後何ヵ月も止まらなくなって泣いてろボケナス。死にくされアホンダラが。 　たとえば銭湯の女湯を覗いてみたいっていう男のスケベ心理はまあわかる。 　そういうことが青春の思い出になってるオジサンもいるだろう。けど、その 場合、屋根の上からそっと覗かせてもらうのが礼儀だろ？　だからこそ青春の 甘酸っぱい思い出にもなるんだろ？　男が女湯にザブンと入っていってどうす んだ？　それじゃただの社会不適応者じゃねえか。 　あえて言う。しょせんネットの性別なんて誰にも確認はできない。完璧に自 然な女性を演じられて、ビアンな人たちが誰も不審に思わないくらいのネカマ になれるなら、それはそれでネカマとしてビアンサイトで遊んだっていいとワ シは思う。が、それは恐ろしく難しい技である。どんなに上手に化けたつもり でも、ワシら女からしたらなんとなくわかるからさぁ。ネカマなんて、そのサ イトに集う女性を傷つけてまでやることじゃないんだよ。 　どうせネカマするなら、ネットのエッチな出会い掲示板に「わりきったお付 き合いのできる女性を募集！」とか書いて、たったそれだけの労力で（書き込 みにかかる時間なんて一分だろ）女性から反応があると思っている頭の悪い男 をからかって楽しんでくれよ。テレクラにすら行く努力もしないで、タダで横 着して女とヤルことを夢見てるシアワセな男をからかって楽しんでくれよな。 　夜は空に行く。 　聞くともなしに、ある男女の会話を聞いていた。 「えーっ、そのころ、あたし、まだ生まれてないよー」 「そうなのー？　あれ、何年生まれだっけ？　えーっ、八十年生まれー？　年 の差感じるなあ」 　彼らが帰ってから、私はマスターに言った。 「ああいうこと言うの好きな女っているよね」 「ああいうふうな反応で、女を喜ばせる男も多いよな」 「どっちも精神的に田舎もんだねえ。女が『あたし、そのころまだ生まれてな ーい』って言ったら、フンって、だから何？　って顔する男が私は好きだよ」 　と言ったら、マスターはアッハッハッと笑った。 「俺の友達で、前はとにかく若い女が好き、ヤルなら絶対に若い女ってヤツが いたんだ。そいつが一度ひょんなことで、五十くらいのオバサンと寝たんだっ てな。それ以来、趣味が変わっちゃって、今じゃ熟女大好きなんだよ。ケツの 青いガキよりよっぽど味があるって。まるで、しおれてる植物が水を吸ったみ たいだったって言ってたよ。五十なら肌も乾いてるわけじゃん？　そのオバサ ンも見た感じ、女としては枯れてたんだと。けど、セックスしてるうちに、見 る見る肌がぽぉっとピンク色になってきて潤いだしちゃってさ、乳首が立っち ゃって、『あん』なんてかーわいい声出すんだってな。そいつ、それ見て、あ あ、やっぱりいくつになっても女なんだなあ、かわいいなあってしみじみ思っ たんだって」 　とマスターは言う。 「いやあ、実にいい話だねえ」 　と私は言う。 　植物ってそうなんだよな。葉っぱが干からびちゃってて、あ、いけねと思っ て急いで水をやると、たちまち元通りのみずみずしい葉っぱになるのだ。 　女もそれと同じなんだなあ。
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