１月６日（木）
	渦巻きストロー
	一緒に暮らしてて、直ちゃんの吹き出物をはじめて見た。 　いつもはツルンツルンのむきたてのゆで玉子みたいな肌なのに、便秘のせい で、おでこに二つ小さな白ニキビができている。 　ぷくぅと小さくて、すごくかわいい。 　触らせてもらったら、ふにゅふにゅしてて破れそうな感じ。 　うわ、ぜったい潰させてほしい！　と思った。 「潰させて潰させて！」 　頼んだら、あっさり「いいよ」と直ちゃんは言った。 　石鹸で手を洗ったあと、爪でちょこっと押すと、白いのが出てきた。 　直ちゃんの風邪、よくならない。 　ケホケホ、咳をしてる。でも、わたしを気にしてか、咳の音を小さくさせよ うとしてる気がする。 「だいじょうぶだよ、ちゃんと咳していいよ」 　わたしは言った。 　電車に乗ってるときなどに、近くで大きな咳をしてる人がいると、わたしが ビクッとするのを直ちゃんは見ている。だから、まだそんなわたしのために、 直ちゃんは咳を我慢しようとしているのだ。直ちゃんはそういう人だから。 　すごく喉が渇くみたいで、牛乳と百パーセントのオレンジジュースとヤクル トをガバガバ飲んでいる。 　直ちゃんは、なんでだか飲み物をストローで飲む。いつも。絶対。お酒と水 以外は何を飲むときでも。 　ストローが切れそうなので、スーパーに買いに行った。 　渦巻き型の大きなキャンディみたいなストローをふざけて買って帰ったら、 「蝶ちょじゃないんだから！」と怒った。 　オレンジジュースがクルクルクルーッと回転して、直ちゃんの口に入ってい く。かわいい。 「蝶ちょじゃないんだからさ」とプリプリ怒りながら飲んでいる。 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　奈々　記す
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