1月1日(土)
  残酷な神が支配しない
 

   時間ってすごいなあ。いや、つくづく思うな。
 何はどうあれ、時間は過ぎていくしかなくて、いいことばっかりの一年だっ
た人にも、最悪な一年だった人にも、とにかく正月はやってくるし、新年は望
むと望まざるとにかかわらず訪れる。
 当たり前のことを言ってるけど、この当たり前ってすごくないか?

 子どものときから、時間について考えると、とても気分が落ちついた。
 この年になっても、時間と宇宙の果てについて考えると、もう目眩がしてき
て、なんだかとても落ちつくのだ。
 果てが無い。ということがワシはどうしても想像ができない。時間のはじま
り、時間が生まれた瞬間というものがイメージできない。ビッグバンで宇宙が
はじまったと言われても、その前はどうだったんだ? と今でもアホのように
考え込んでしまう。

 そして、時間ってすげえ、宇宙ってすげえ、とただただ茫然とする。
 ワシの前は父と母で、その前は祖父母で、その前は……と辿っていくと、生
物を越えて遂には宇宙のチリ、ビッグバンまで行き着いてしまう。ワシという
人間は宇宙の開闢まで途切れずにつながっている存在なんだ、と思うと、もう
口あんぐりだ。おしっこ漏れそうなほど神秘的だ。
 時間ほど残酷で不思議で優しいものはないだろう。


 結局、何も起こらなかったな、2000年問題。
 ワシなんか小心者だから(ホント)、明日締め切りのスポニチの原稿、去年
のうちに送っちゃってたのに。
 ま、ワールドワイドな杞憂だったっつーことか。
 ちなみにワシの2000年の瞬間は、奈々ちゃんに唇を奪われていた。

 大晦日は、糸井重里の下らない徳川埋蔵金の番組を見てしまった。
 あれ、大好きなんだよなー。糸井が書いた赤城埋蔵金の本とかも買っちゃっ
てるしな。買うなよ、そんな本(笑)。自分で自分をぶっとばしてえわ。
 でも、ワシは好きなんだよ〜、埋蔵金ロマンが〜。
 親子二代にわたって徳川埋蔵金を探しつづけて、埋蔵金に人生を捧げてしま
った水野というアホゥなオッサンがいい味出してるんだ、これがまた。
 端から見たら大バカだけど、本人は充実した、おもろな人生を送ってるんじ
ゃないかと思う。それって悪くないよな。

 埋蔵金を見ながら、奈々ちゃんが作った年越しソバを食べた。
 えびの天ぷらとか買ってきてソバに載せる奈々ちゃん。一応見れるシロモノ
になってた。この頃、けっこうなんだかんだと料理するんだよなあ。

 家でうだうだ寝正月。一時の平和な時間。
 元旦の夜はテレビで、映画「踊る大捜査線」を見る。
 何度見てもいい。やっぱり音楽の影響ってデカイな。あの主題歌のオルゴー
ルチックなサントラが流れると、それだけで感動モードがスイッチオン。そん
な自分がちょっとイヤ。横で大泣きしてる奈々ちゃんはかなりイヤ(笑)。

 太一が去年のうちに送ってくれたモチを焼いて食べる。太一の家でついた、
ちゃんとした本物のモチ。太一って、「北の国から」の草太みたいだなぁ。
 太一の年賀状、きっちり元旦に届いた。
「今年もよろしくな! おまえは、いつこっちに帰ってくるんだ? たまには
顔見せろ。メシだけはちゃんとしっかり食う生活しろよ! 秋一、結婚するみ
たいだな。おめでと」
 と書いてある。えー、秋一(ワシの弟)、そうなの? ちょろっと聞いては
いたけど、絶対だめだと思ってた。へえ。



 元旦の間違いメールを二通紹介。

 両方、iモードから。

「明けましておめでとう。離婚しちゃったんやー! 知らなかったから、年賀
状、平岡で出したよ。届いてないやろうな。まあ今年は2000年という新たな節
目になる年やし頑張ろうね! 今年もよろしくね! 永田でした」

「新年明けましておめでとうございます。2000年もお互いにとってよい年であ
りますように」


 アンタたち、誰?
 メールアドレスって、ふつうアドレス帳に登録してあるよな。なのに、何で
こういう間違いメールって来るんだろう。一回一回、アンタたち、手打ちして
んのか? 二通目は間違いを装った出会い求めメールの可能性あるけど。一通
目は違うだろう(笑)。
 ワシはよい年になるだろうけど、おまえたちはズバリ無理です。ワシのiモ
ードの課金を勝手に増やすとコロスよ?






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