２月２９日（火）
	肩肩思い
	一週間ぶりの日記か。 　新潟少女監禁事件での新潟県警の初動捜査ミスって犯罪にも匹敵するほどだ と思うんだけど、佐藤容疑者をコンピュータのロリコン犯罪者リストに入力し 損なった警察官は罪には問われんの？　 　単なる業務上ミス？　そりゃないっしょ。 　隣の市で女の子に猥褻なことしようとして捕まってる男なんて、一番最初に 捜査リストにのぼるはずだ。入力ミスって何だそれ。お粗末という表現でも足 りねえぞ。保護された女性も女性の親も泣くに泣けないだろうよそれじゃ。 　この日記を書きはじめた最初のほうで、アメリカの「メーガン法」のことを ちらっと書いたが、あれを日本でも施行すべきだと私は思う。 　メーガン法っていうのは、子供に性的犯罪を犯したヤツが近所に住んでるこ とを住民が知る権利のことだ。そういう人が自分の住む町に引っ越してくるこ とがわかったら、親はそれなりに自衛手段を取れる。佐藤容疑者がまさにそう だけど、ロリコン犯罪って再犯率が高いんだよな。 　メーガン法なんか実施されたら、犯罪者はどの町からも追い出されてしまっ てどこにも住めなくなる？　そんな甘っちょろい配慮など必要ない。 　子供への性犯罪は、犯罪の中でも一番愚劣なものだ。そんなヤツに、ふつう の人と同じ人権なんて無くて当然じゃないか？　 　ロリコン犯罪者は子供がいない場所に住め。じいちゃん、ばあちゃんしかい ない過疎の村に行って住まわせてもらうしか方法はねえだろう。 　四百年に一度のうるう年だそうだ今日は。 　私にとっては単にお茶っ引きの日。はー、久しぶりだよー、お茶っ引き。 　四百年に一度のうるう年だから、客来ないの？　関係ない？　控え室で爆睡 しまくりで一日終わる。 　仕事帰りの電車の中で。 　座席に座ってて、隣の人に肩にもたれかかられるのが私は大嫌いだ。 　髪の毛が油っこそうなおっさんがもたれかかってきたら、即座におっさんの 頭に肩タックルかまして、うとうとしてるとこを思い切り叩き起こしてやるん だが、今日はめっちゃカワイコちゃんがワシの肩にもたれかかってきた。 　こういうとき、ワシはダメなのだー。鼻の下が延びて、席を立てなくなる。 降りる駅で降りられなくなってしまうのだ。 　彼女は時々ふっと起きて頭をまっすぐにする。けど、またすぐに眠くなっち ゃうようでワシの肩にもたれかかってくる。ワシはひたすら地蔵のように固ま っていた。肩に小さな幸せを感じた（笑）。頬の筋肉が緩んでしゃーない。 　おかげで、私は自分のとこの駅を二つ通過してしもたよ。奈々ちゃんが銭湯 で待ってんのになあ。 　銭湯につくと、奈々ちゃんがクレーンゲームに熱中してる背中が見えた。 　ラムネ菓子をクレーンで釣る、一回、三十円のゲームだ。 　奈々ちゃんは私が見つめていることを知らない。その人が私に見られている ことを気づいてないのって好きだな。たとえばシャンプーして髪を洗ってると きの背中や、腋毛を一生懸命剃ってる姿を見るのってなんかすごく好きだ。 　以前、コンビニで立ち読みしてる奈々ちゃんを偶然に外から見かけたときも ワシはしばらく見つめてしまったんだったなあ。 「ごめんごめん」と私は声をかけた。 「直ちゃん、おそーい」 　待ちくたびれた奈々ちゃんの息はラムネ臭かった。
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