１２月１３日（月）
	わんわんにゃーにゃー
	ずいぶん前のことなのに、茨城で起きた幼児虐待事件のことが妙に頭から離 れない。母親と父親と、あとなぜか母親の友人も一緒になって、三人で六才の 女の子を殺した事件。 　六時間もモップの柄やらなんやらで娘をぶって、その後、洗濯機に立ったま ま十一時間も縛りつけたんだよな。 　洗濯機に縛りつけられたまま、ちづるちゃんは死んだってことだ。 　洗濯機って何だよそれ。そんな死にざまあり？ 　ぶたれながら、ちづるちゃんは錯乱して、「わんわんにゃーにゃー」って叫 んだんだそうだ。この「わんわんにゃーにゃー」の言葉を新聞で見たとき、私 は思わず目を閉じてしまった。 　わんわんにゃーにゃー、だよ。動物の言葉だよ。たまんねえよ。 　あの生意気なグラサン小学生とまた遭遇した。 「おねえさん、お茶しよーよー」 　またナンパされる。 　今日、そいつの顔ををよく見て、ちょっとびっくりした。 　首筋とか耳の裏のあたりとか、黒く筋になってるんだ。垢なんだ。 　ああ、風呂、長いこと入ってねえのか、おまえ。 　風呂に入ってない生活をしてんのか。 　よくわからんけども、たいへんだな、ま、がんばれよ、と思いながら、うる さいガキに蹴りを入れて追っ払う。 　空のマスターから聞いた話で忘れられない話がある。 　マスターが昔、働いていた精神病院で、いつも腰に両手を当てて歩く女の人 がいたのだそうだ。 「なんでー？　腰痛？」 　私は笑って訊いた。 「赤ん坊を背負ってるんだよ。子どもを亡くしてから、精神に異常をきたしち ゃったみたいでさ。何年もな、背負ってるんだよ」 　そんな母親もいるのか、と私はしばらく言葉を失った。 　母親かぁ。 　あの人はなんで子どもと話をするのが嫌いだったんだろうか。 　こちらから話しかければ会話になるが、向こうからは話しかけてこない人だ った。私の記憶で、母親から話しかけられたことはたぶん四回しかない。 　だから、小さいときの私は一生懸命、過剰に母親に話しかけていた。 　でも、あるあたりから話しかけるのをやめた。十代のときの私は、おそらく 一度も母親としゃべらなかったと思う。 　今、私と母親はまったく話をしないわけではない。 　実家に帰ったら、一言くらいは話す（ワシから何か話しかければな）。 　私にとって、最大のナゾの人、それが母親だ。ホントよくわからない人だ。 とてつもないミステリーだ。解けん。 　でも、あの人は少なくとも私を殺さなかった。 　スポニチの連載は三ヵ月という予定ではじめた。 　一月いっぱいで予定通りキャバクラものは終わりなんだけど、新しく別の連 載をすることになった。 　バイセクシュアルものをこんどはやる。一回目の掲載は一月八日の予定。 　一月はキャバクラとバイセクシュアルの二本立てでやるってことだな。でき んのかワシ？ 　バイセクシュアルものは、ここの日記をリライトしたり、まっさらで書いた り、そのへんは自由に織りまぜてやるつもりだ。 　ハニーの写真も掲載することになって、スポニチのＭさんに送る。 「いいですね！　ショッキングな写真ですね！」 　だって（笑）。 　喜んでもらえて何より。 　読者メールなんですが、ワシに「よかったらＳＭのこと教えてください」な んて寝言送ってくるのはやめれ。寝言は寝て言え。たのむから。たのまないけ ど。思い切り命令だけど。 　なんで、どこのどいつかわからんヤツに、このワシが無料でレクチャーして やらなくちゃならねえんだよ。 　それから、タメ口もやめれ。私は知らない人に手紙書くときは、言葉づかい には気をつける方だぞ。書いてから、もちろん見直しもする。 　誤字の多いメールって、もうその時点でワシは読まないから。 　私は常識ない人間に見られるけど、実は人一倍、常識人なのだ。 　さらに言えば、「僕は痛いのはダメなんでＳＭはやりませんが」とかの一言 は余計だから。なんかカチンとくるね、その一言。 　誰も、あんたの趣味なんて聞いてねえから（笑）。 　この一言を添える人、めちゃめちゃ多いんだけど。ウゼえんだけど。
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