１２月９日（木）
	花ざかりの亀頭
	針プレイが好きな人って理解できない。 　あんな恐ろしいものを体に突き刺して、よくそれが快感につながるよなあ。 　私なんて先端恐怖症の気があるので、目と目のあいだにボールペンの先を近 づけるのでさえ恐ろしくてイヤだ。注射も恐い。待ち針を見てるだけで恐い。 　でも、人に刺すのは好きみたい。 　感覚としては刺繍とかに近いのかもしれない。 　今日はかなりヘビィな針マニアのＭ男が来た。亀頭に十五本ばかしブスリと 刺しまくる。このＭ男はもう竿本体じゃ満足できない体なのだ。 　ワシは職人のように、Ｍ男の亀頭を針山にした。 　これねえ、はっきりいって出来上がりは芸術品だわ。針の部分じゃないとこ ろ、あれ名前なんて言うのかな、色がついてるとこあるよね、あの色をオレン ジで統一したから、すーっごいきれいなのだ。まるでお花畑みたい。花ざかり の亀頭。ちょっとヤだな（笑） 　いや、でも、己の職人芸に感嘆のため息が漏れるわ。もはやアートの領域に 達しとるかもしれんよ。 　刺繍を趣味にしてるおばあちゃんの気持ちが少しわかるなあ。なんか楽しい もん（笑）。 　ワシの針の刺し方はいわゆる水平刺しだ。垂直に縦にやるハードな刺し方も あるが、あれはＭ男が望んでもワシがやりたくない。 　あの刺し方だとＭ男の肉体への負担があると思うのだ。けっこう深く刺さる からな。その点、水平にスッと刺せば、針は二箇所刺さることになるけど（想 像できる？）、深さ的には問題ない。ワシは安全第一の女王様なのである。 　針を刺すごとに「あっ」とＭ男は吐息を漏らす。 　痛くてイイみたいだ。 「このチンコの針山、女子校の家庭科室にでも置いておいたらいいかもね」 　私は言う。 　そのシチュエーションがＭ男のイマジネーションをいたく刺激したらしくて 「イヤッイヤッ、そんなこと〜〜〜〜〜〜っ」 　顔を覆って（笑）、恥ずかしがっていた。頭隠して、チンコ（針付き）隠さ ずだな。ぷっ。かわいいなー。 「こんなカッコ、人様にはとても見せられないよねえ？」 「見せられませんーーーーっ」 「でも、これがおまえの”おめかし”なんでしょ？　言ってごらん、僕のおめ かししたチンチンを、直女王様、見てください、って」 　ああ、これで、またＭ男のハートをがっちり掴んでしまったわ。 「お、お、お、お、おめかしした、ぼ、ぼ、僕のチ、チ、チ、チンチン、直女 王様、見てくださーーーいっ」 　アッハッハッ。　ほんと、こんなみっともない姿、妻や子には死んでも見せ られないわなあ（笑）。 　お金さえもらえれば、ワシはいくらでも見てやるけどな。 「一針一針刺される瞬間、あのチクッと痛みを感じる瞬間が、僕の生のきらめ きなんです」 　プレイ後、Ｍ男は詩人のように言った。 　仕事帰りに、ピーター・アーツと会う。 　ヤツとセックスするとき、ワシはまったく言葉を口から出さないわけではな い。セックスの最中、喘ぎ声はどうしたって出る。布で口を塞いだって、「あ ーっ」とか「んーっ」とかいう声は漏れるし。 　多少意味のある言葉、「気持ちいいーっ」や「イクーッ」はダメだけど、無 意味な喘ぎ声なら罰金にはならないだろうと自分で判断して、「あーっ」だけ は口から出す。それがピーター・アーツと私のあいだの唯一の言葉だ。 　ピーター・アーツの車で深夜のドライブをした。 　ヤツのチンコにフェラチオした。車は猛烈なスピードを出していた。このま まどこかに追突して死んだら、発見されたときの私はチンコを口にくわえたま まだなあ、と思った。チンコ噛み切って、血まみれにしてるかもな。 　そんな大マヌケな死に方をした女は世界中で今までに何人くらいいるんだろ う、地球上で一日五人くらいはそんな死に方をしてる女がいるんだろうか。 　考えながらくわえていると、別にクスリやってるわけでもないのに気が違っ たような奇妙なおかしさが涌きあがってくる。 　チンコくわえて死ぬ自分を想像して、私はふがふがと笑った。 　実はマメなことにｉモードでもこの日記を配信していた。 　けど、なーんかそっちにアップするの面倒になってきた。 　ｉモードの方はアクセスカウンター付いてないから、どれくらい読んでる人 がいるのかさっぱりわからんのだ。反応も無いし。 　そっちへのアップは本日分で終わりにすることにした。
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