８月２７日
	唇に遠くからダイレクト・プラグ・イン
	「リトルモア」のＯさんからメール。 　載るかどうかいまひとつ不確定だった「バイセクシュアル放浪記」の、来月 掲載の知らせ。 　挿絵は、ヴィヴィアン佐藤さん。 　建築家にして、画家、ゲイバーのママで、ドラッグクィーン、そして四谷婦 人会会長という肩書を持つ人なのだそうだ。多才だねえ。 　けど、四谷婦人会会長ってなんだ？　あーやーしーいー。 　ちょっと会ってみたい。四谷婦人会というのがそそるな（笑）。 「バイセクシュアル放浪記」は、主に千佳とのあれこれをつづったノンフィク ションだ。 　最初は私がそんなものを書くことを千佳はいやがった。 　ジャンルとしては、人からはよく鬼畜系と評される。鬼畜なことを私からさ れまくっている彼女からしたら、そんなことを文章に残すなんて！　と愉快で はないらしい（当然だよなあ）。 　けれど、いつごろからか、彼女は熱心な読者に変貌した。 　私が書く千佳と私の物語を、なぜだか心待ちにするようになった。読みたが るようになった。 　印刷された作品を、彼女は黙って読む。読みおえると、「マジひで」と言っ て、くすりと笑う。 　私は何かを書くときに、テレビの音が聞こえたり、横で人がうろうろしてて も平気なほうだ。まったく気にならない。 　話しかけられてもだいじょうぶだし、ＣＤをかけて体を揺らしながら書いた りもする。歌いながらも書く。 　スタイルはあぐら。これが一番ラク。あぐらをかいて、私はワープロのキー ボードをカタカタと打つ（もちろん親指シフト。呪われた親指シフト（笑）。 私は断固、親指党だ。がんばれ親指！　消えるな、親指の火！　フレーフレー 親指！　目指せ五輪！　ファイト親指！　ブラボー親指！）。 　千佳ちゃんは印刷以前に、私がワープロを打っている段階でもよく読む。 　私の後ろで、私の肩にちょこんと顎を乗っけて画面を見る。時々、私の乳を 揉んで遊ぶ。これが意外と気持ちよかったりする。胸を揉まれながら書くのは けっこう好きかもしれない。 　千佳に無理矢理３Ｐさせたり、変態な行為をさせたりする場面が続出の「バ イセクシュアル放浪記」を、千佳が主人公といえなくもない作品を、どんな気 持ちで彼女は読んでいるのだろう。どうして、「早く続きが読みたい」などと 言うのだろう。 「NAOちゃんは、ふだんも自分の気持ちをあまり言わないけど、作品の中でも 言わないんだね。よくわかんないけど、心理描写っていうの？　それ、ちっと も書かないんだね。事実しか書かない。事実の羅列なんだね。読んでるとさ、 千佳って人、すごくかわいそう。って、あたしか（笑）」 　千佳は笑う。 「何で読みたいの？　精神衛生上よくないんじゃない？」 と訊いたことがある。 「うーん」 　千佳は少し考えてから、　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 「行間、かな。行間を読みたいの」 　と言った。 　本日のあんぽんたんメール 　タイジ＠ドコモ 「勝手にメールしてごめんよー。いやー、ごっつい暇やったから。あ、よかっ たらメル友になってー！！　よろしくー」 　わかった。こいつらの、この手の脳味噌かったるい奴らのキーワードって、 「暇」と「メル友」なんだな。 　たった二行で、おまえのすべてがわかるわ。おまえのゆるーい人生がな。
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