８月４日
	女と女と風呂の中
	書店で本を予約する。 「綾。ホステス。22歳。」 　自分の本を自分で予約する。かなり妙な気分。 　あと一ヵ月で店頭に並ぶ。はず。 　もう、私にできることは何もない。この先はぜんぶ洋泉社におまかせ。 　キャバクラ時代の話を一冊にまとめた実録ドタバタ劇である。 　やはり出すからには売れたいよな。 　大川隆法式に、売れ行きベストテンに使われる書店で、一気に百冊くらい予 約注文して、売れ行き一位に輝いてみるのはどうだろうか。腹黒い野望でイン チキ一位を奪取！　いくらなんでも、そこまで汚れたくはない（笑）。 　書評で取り上げてもらえれば強いんだがなあ。 しかし、私の出版業界の知り合いといっても、育児雑誌だの健康雑誌だのプ ロレス雑誌だの、まったく使えない、役に立たないコネクションばかり。 赤ちゃん雑誌に、キャバ嬢とアフターへの道、なんて話はどう考えても要ら んしな。ま、なにはともあれ、来月が楽しみだ。 　現役キャバ嬢だったときの源氏名、綾をそのままタイトルに使ってある。 　店のみんなは、私だと気づくだろうか。読めば、百パーセント、これ、綾ち ゃんじゃん！　とわかるはずだ。本を出すことは、店のみんなには知らせてい ないのであった。言えば買ってくれるだろうが、どうも言えん。腹黒なんだか シャイなんだか。 　店に行くと、なんだかざわざわしている。 　女性からの問い合わせがあったらしい。働きたいというのではなく、客とし てである。 　うちの店のメニューは三種類あって、単独男性以外にも、男女カップル、単 独女性もオーケーなのだが、もちろん客のほとんどは単独男性である。 　たまに、Ｓ男とＭ女のカップルが複数プレイに来ることはある。 　が、開店以来、女性が単独で来たことはない（Ｓ女、Ｍ女のどちらで来ても オーケー）。 　時々、電話で女性からの問い合わせもあるにはあるのだが、予約にまで結び ついたことはなかった。いや何度かあったのだけど、最初から来る気がなく冷 やかしだったのか、当日、怖くなったのか、実際にはやって来なかった。 「今日のは冷やかしじゃないと思うんだよなぁ。うん。俺のカン。絶対だね。 来るね。来たら、初の単独女性客だなぁ」 店長はちょっとウキウキしていた。 　Ｍコースで一時間の予約。 「絶対、NAOちゃんだよね」 「あたしはダメー。女はダメー」 　Ｓ女たちの視線はすべて私に向いている。いや、言われなくてもやってみた いとも。はたして、来週、彼女は本当に来るだろうか。 奈々ちゃんにiモードメールして、銭湯で待ち合わせ。 銭湯の広い湯船が気持ちよくて、週に二度は行く。 サウナは四百円増しで、バスタオルやミニ石鹸も付いてくる。小さなプール もあって、これはもちろん裸で泳ぐ。風呂から出て、そのままプールに行って 冷たい水で泳ぐのはけっこう快感だ。 常連メンバーというか、だいたいが顔見知りになっている。名前も知らない し、話もしない固定のメンツだ。 今、私が気になっているのは、大学生っぽい、小ぶりのおっぱいがとっても かわいい女の子。 私はいつもエロい視線で彼女を見ている。見まくっている。視姦状態。 彼女のお尻も陰毛も、堂々とちらちら見ていいのだ。サウナで体と体が触れ ることもあるし。銭湯、万歳だな。わはは。 こんなスケベな女が女の園に侵入していようとは誰も知るまい（奈々ちゃん 以外）。 ワープロフォーラムシスオペのＩさんから、「このコマンドで修復できるか も」と、先日、破壊されたスーパーディスクに一条の光を投げかけてくれるメ ール。持つべきものは、優しいシスオペ。 試してみる。 「3703 個の破損クラスタが 2630 チェイン中に発見されました」という恐ろ しいメッセージが出る。さ、三千っ？ な、な、な、何事っ？ しかも、まっ たく意味がわからない。怖くて、すぐDOSの蓋を閉める。寝る。
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