風呂上がりの彼女は、バスタオルを体に巻
いてくつろいでいる。その背後からそっと近
づいていく私。
「汗スターンプ」
まだ風呂に入っていない、汗で湿っている
私の腕を、彼女の腕にぴとっとくっつける。
「も〜！」と思い切り嫌がられる。
たわいないいやがらせとは、どうしてこう
も楽しいのだろうか。
私はもう一度、彼女に汗スタンプする。
だいたい、二回目までは「も〜！」ですむ。
しかし、三回目になると、「こんどやったら
本当に怒るよ！」とにらまれる。
この「本当に怒るよ！」がたまらない。こ
れが聞きたいのだ（悪趣味）。
メイクしているところを見られるのが嫌い
な彼女のメイク中の姿をじーっと見つめるの
も楽しい。鼻の下をのばして口紅を塗ってい
る姿を覗き込むと特に嫌がられる。
手鏡片手に口紅を塗る彼女を、私は横から
覗き込む。彼女は、見せまいと背中を向ける。
それでも覗き込もうと私はがんばる。
その繰り返しで、私たちはバカみたいに二
人でくるくる回転する。
たわいのないいやがらせ、である。
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