私の知人に、猫から電話をもらったという
女性がいる。
彼女には付き合っている男がいて、彼は一
匹の猫を飼っている。男の部屋で飼われてい
るその猫から、なんと彼女は電話をもらった
というのだ。
たぶん、猫は部屋の電話にじゃれていたの
だろう。受話器がコトリと外れた。そして短
縮登録のボタンを絶妙のタイミングで猫の足
が踏んだ。
「ウンニャーッ」
受話器を取り、向こうから聞こえてきた声
に彼女はぶっとんだ。そりゃあそうだろう。
彼のイタズラかと思い、彼女はそのままし
ばらく待った。しかし、「ヘヘヘ、びっくり
した？」という彼の声はついぞ聞こえてこな
い。聞こえてくるのは「ウンニャーゴ」とい
う鳴き声だけである。
その話を聞いた私は世の中なんでもありだ
なと笑いたいような気分になった。
猫から電話がかかってくるのだから、世の
中、何が起きても不思議じゃないよ。
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